呼吸と指揮
呼吸(Breath)と指揮は密接な関係がある。
言い換えると、指揮をする上でBreathは重要な技法の一つだ。
Tempoを与える場合、Nuanceを伝える場合、ザッツを取る場合、緊張させる場合など、腕を動かす「所謂指揮法」と同じ、若しくは其れ以上に重要なファクターであると云えよう。
管楽器はBreathをしないとたちまち音がでない。当たり前の話だ。
弦楽器もBreathでいくらでも合わせられる。
管楽器のテクニックとして、弦楽器の弓同様ブレスの際に生ずる肩の動きでザッツを見極める方法もある。
打楽器も管楽器の其れを見てザッツが取れる。

指揮者の中には、そうした「楽器奏法上のテクニック」を理解せずに、Breathを摂らない指揮者も多いが、斎藤氏の「指揮法教程」に匹敵、否、大きく超える技術としてこの「Breathによる指揮」は有効な手段である。
指揮者を志すものが必ず学ばなくてはならない技術だと思う。

最近管楽器出身の指揮者が増えている。(かく云う私も管楽器出身であるが)
そうした背景にこの「呼吸による指揮」を自然と体現している指揮者はある程度居る。
が、実は管楽器奏法としての「呼吸法」と指揮者の其れは、似て非なるものである。
何故なら、管楽器奏者は演奏前に必ず息を吸わなければならないが、指揮者はそうではない。
では、指揮者のBreathはどう利用したらよいのだろうか。

指揮者は音楽を視覚的に表現していく。
その場の空気や色なども利用するし、勿論腕の動きや表情などは当然の事だ。
そうした「表現方法の多彩さ」で云えば、どんな楽器にも敵わないのかも知れない。
そうした中、むやみやたらにその引き出しを開けて多用するのは私は好まない。
意図的に多くの情報を与えることはあるが、其れも常に計算された事である。
そう捉えると、呼吸も「思う音を引き出すための方法」であると思う。
効果的な場面でのBreathは素晴らしい効果を得られるし、思いも依らない効果も期待出来る。

そう、「効果的な場面」では、だ。
多用はBreath効果を一般的にしてしまい、効果を減らしてしまうことになりかねない。
そのさじ加減は非常に微妙だ。
大きな流れでの呼吸、細かいパッセージでの呼吸。
あらゆる場面で呼吸がもたらす効果は望めるが、むやみやたらに呼吸を使うことは望ましくないと、私は考えている。
そういう部分で云うとデュナーミクと似ている。
デュナーミクも多用すれば「纏まりのない音楽」になりかねない。
ブレスも出し過ぎると「曖昧な表現が殺される」事になる。
中間的表現を利用したい時に、極端なブレスは奏者の呼吸を止める。
客席のニュアンスを制限する。
そういう危険性も、Breathにはある。

何れにせよ、効果的な呼吸を計算して利用することができるようになると、また音楽が深まると、私は思うのである。
これから指揮を勉強する方々には、是非その醍醐味を先人に学んで頂きたいと、私は思うのである。
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指揮者の仕事 / ☆いろんな職業(仕事の職種)情報館☆
2006/11/11 11:14 PM
指揮者はオーケストラの音色やテンポを図りつつ、全体の演奏をまとめあげてゆきます・・・
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