音楽の習得
「音楽」っていうのはとても厄介だ。

誰もが簡単に出来る音楽。
その敷居はとても低く、歴史も非常にある。
昔から生活や国家や宗教などに常に共存し、喜怒哀楽を増長させる効果を持ち、音楽によってそれらが方向付けられる文化が、そこにはあった。
しかし、その構造は歴史を重ねるにつれてとても複雑化し、より人間の感情をストレート且つ歪曲して伝達させる手段として、大きな流れの統率力として、凄まじく難解になってきた。
そのため、複雑な表現を行うために必要なスキルは、その限度を弁えずひたすら増え続け、元来そうであった「誰でも」「簡単に」「いつでも」という要素と背反するようになった。

音楽をする人々の中には、そのスキルを身につけ、成長させ、複雑な音楽を実現する事乃至感じる事自体に快楽を求め、実現し、満足する人々と、原始的な、根本的な音楽の要素や単一の感情を真摯に見つめ、生活の一部として当たり前のように感じる人々とあるように思える。
言い換えれば、元素的単一性を求めるか、ポリ化したスキル音楽を求めるか、その二極化が顕著だという事である。

私の考える「音楽」は、その二極化した音楽の形、言い換えれば片方を棄てて深く入り込んだ音楽の風潮を、歴史の流れ、時間の流れに即した形、即ち「同時に二極化した音楽を実現する」ことにある。
その中で、スキルは構造化され技術化され、習得にあたっては方法論まで確立されつつある反面、構造元素は其れを見抜く感性や経験など、方法論や技術では到底感じ得ないものである。
スキルはナレッジが整った現代では方法論としては容易に手にはいるが、習得には長い歳月を必要とする。感受性はその方法論は全く確立されて居ないが、その瞬間に習得することの出来るものだ。

であるなら、そこに2つの考え方が存在してくる。
一つ目の考え方として、「継続して歳月を掛けて得られるスキルは、いつ得られるか判らない感覚を得ることなく、どんどん磨いていくべきである」考え方。
これは日本の音楽教育における大勢派であり、音楽学校乃至ほぼ全ての音楽教育、否、教育全てにおいて定石となる方法論である。言い換えると「帰納法的」である。
もう一つの考え方として、「まず瞬間に得られる感覚を発見し、その感覚を実現するためにスキルを学んでいく」考え方。
いわば「演繹法的」である。

私は現在、上記後者にあたる方法を用いて指揮をしている。
何故か。
いつ習得できるか未知数な「感覚」を得る機会は非常に希少であり、そのタイミングを逸してしまうといつ来るか判らない。
そして、その「感覚」は実は「いつの間にか身に付いている」ものであり、「明確な習得日時が不明」なものである。
なので、機会損失は充分考慮すべきである。

結果主義の日本だからこそ、「時間を掛ければ習得できた結果が見えやすいもの」に注力してしまうのであるが、これでは「二極の実現」は不可能である。
納得のいく技術を習得する頃には、計り知れない機会損失をしているはずだからである。
Comment:
2007/07/22 6:42 AM,  wrote:
>たえち さま
コメント有り難う御座います。
昨今の風潮ですが、この二極化は本当に浸透しています。
その上で「単一の中に存在する複雑性」という視点で一つの事象(音など)を見ていくと、表面上複雑な音楽の其れより数百倍の構造を感じます。
単純なものをどう複雑に見抜くか。
そういう視点でも、この二極化は感じて行かなくては成らないのかも知れません。

後半エントリは仰ることが言いたかった次第です。笑
文才がない私が肩を張らせて書いていると、判りづらい表現も多くなります。汗笑
2007/07/21 7:34 AM, たえち wrote:
こちらではお初です。
「二極化」については自分も時々考えることがあります。

テクニカルで複雑な音楽→高度な音楽だけど心を動かされ共鳴できるような熱い感情が足りない。

感情や感覚重視で単純な音楽→親しみやすいのだけれど深みがなくすぐ飽きてしまったり。

その辺の納得するポイントが個人個人で違うのでいろんなジャンルがあったりするのかと。
ちなみに自分はどっちも欲しいと思っているのでメロディックなパワーメタルが好きになったのだと自己分析。(どうでも良いですね)
自分が演奏するとなるとテクニックが圧倒的に足りないのでまた話は違ってきます。

なんてエントリの前半内容から、そんなことを考えたりしました。

エントリ後半内容はちょっと難しかったのですが、感性とか感覚とかイメージとか表現したいことが先にあって、それを表現するための技術をその都度持ってきましょう、ということであってますか?
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