Adagio for Strings/Samuel Barber

Samuel Barber(1910/3/9〜1081/1/23)はアメリカの作曲家。20世紀生まれのとても若い作曲家なのだが、古典的な作曲を手がける新ロマン主義音楽の作曲家。彼の代表作とされるAdagio for Stringsは、先に作曲された弦楽四重奏曲第1番の第2楽章より編曲されたものである。
作曲時には彼はイタリア留学中であり、詳しくは不勉強だが祖国に居る2人の子供達へ送ったものだとスコアには明記されている。

この曲をはじめて聴いたのは昭和天皇崩御のとき。NHK交響楽団が追悼演奏会で演奏していた。
当時高校2年生、学生指揮者として矢代秋雄作曲交響曲第3楽章を吹奏楽で指揮したのが公の場での最初の指揮であったのは、この記念演奏会の1ヶ月余前だった。
矢代秋雄の交響曲も非常に難解な曲で、特に第4楽章は吹奏楽界では有名であるのだが第3楽章は比較的無名だったもので、弦楽の濃厚な響きをLentoで綴り、その根底に2楽章の「テンヤテンヤテンテンヤテンヤ」というお囃子のリズムを配している、独特の雰囲気を持つ曲。
矢代はBarberより後に生まれ、そしてBarberより早く他界した作曲家で、かれは留学先をパリに選んでいた。黛敏郎などと一緒にパリ国立高等音楽院で学んだ仲だ。
Barberが留学したのは1936年、矢代はそのとき7歳なので同時期ではなかったのだが、何か近い感覚があったのかもしれない。
矢代自体は当時Cesar Franckに心酔していた(Cesar Franckの交響曲での手法「循環主題」が使われている)のだが、私の耳に入ってきたAdagio for Stringsはなぜか矢代の第3楽章に類似点を感じていた。
その後この曲に久しく触れていなかったのだが、ふとした折に友人より「Adagio for Stringsをやってみなさい」と薦められ、俄に記憶を蘇らせた。

話をBarberに戻すと、彼は当時流行であった現代風の作風というより古典的な作風を好んでいた。当時のアメリカでの西洋音楽のトレンドは実験的なものが多かった。Barberはそのトレンドにあまり傾倒せずに伝統的な楽式や和声法を用いた作曲が多く、とはいえ無調や12音を全く扱わなかったわけではない。
彼の親類に当時名声を博したオペラ歌手が居たりした影響か、彼は多くの管弦楽伴奏の歌曲を残している。ちなみにAdagio for Stringsにラテン語の典礼文をつけた「Agnus Dei」という歌曲編曲も行っている。

弦楽5部で作曲されているこの曲は、4/2という拍子で始まり、小節全音が二全音符となるなど一見挑戦的な記譜になっているが、その奥底に彼の持つAdagioの流れが感じ取れる。冒頭は各楽器の中心音域付近でテーマが流れていくが、変奏されながら転調を繰り返し、その音域は高音域に達していく。クライマックスの強奏部ではCB以外の全ての楽器がト音記号で記され、当然音がある全ての楽器がハイポジションでの演奏になっている。楽曲にフェルマータやG.P.などの休止はなく、休符による時間進行を義務付けている。その際時間軸の揺らぎはAdagio内の許可があり、自由である。最強奏部の後、休符での空白時間を得て弱音でしかも低音の再変奏テーマが流れた後に回帰部になる。回帰部ではSordinoがad libitumとされているが、殆どの演奏ではCon Sordinoで演奏される。
そのまま静寂でありそれでいて強い意志が感じられるまま、トニカを得ずに終止する。

ジョン・F・ケネディの葬儀の時に演奏されてから比較的追悼というイメージが伴っているこの曲だが、作曲家本人は「この曲は葬式の曲じゃない」と抗議していたとのこと。確かに愛する子に送る楽曲が葬儀の曲とは、作った側は少々辛い認識であろう。

Comment:
Add a comment:









Trackback:
トラックバック機能は終了しました。
CALENDAR
SMTWTFS
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>
SPONSORED LINKS
ENTRY(latest 5)
ARCHIVES
CATEGORY
COMMENT
PROFILE
Counter
ブログパーツUL5
MOBILE
qrcode
LINK
RECOMMEND
アンブシュア―管楽器奏者のための
アンブシュア―管楽器奏者のための (JUGEMレビュー »)
モーリス・M・ポーター,大室 勇一,荒木 雄三
RECOMMEND
RECOMMEND
R・シュトラウス:ツァラトゥス
R・シュトラウス:ツァラトゥス (JUGEMレビュー »)
カラヤン(ヘルベルト・フォン),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,R.シュトラウス
無料ブログ作成サービス JUGEM

SUGGEST

(C) 2020 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.